15thシングル「Ring a Ding Dong」オフィシャル・インタビュー

コロンビアミュージックエンタテインメントのインタビューを転載します。

シングルとしては「BANZAI」以来、約1年ぶりとなるニューシングルがリリースされますが、まず、5周年イヤーを終えた心境から聞かせてください。


カエラ
素晴らしい5周年だったと思います。個人的には、大人になった感じもしてますね。この1年間で、すごくたくさんの人が関わってくれているのを近くで見てきて。赤レンガパークでの『GO! 5! KAELAND』とか紅白歌合戦とかアリーナツアーとか……。規模の大きい行事でたくさんの人が動いてくれているのを目の当たりにすると、責任感も出てくるし、そこで自分がどうしていったらいいのかってことも考えるじゃないですか。でも、そんなことを考えながらも、全てが楽しくできたし、自分の気持ちもいいテンションのまま持ってくことができた。まだ、感覚的なものだからうまく話せないけど、私は私のままでいいんだなっていう部分と、自分のことだけでいっぱいいっぱいにならない冷静な部分のバランスがとれるようになったんですよね。



それは、自身の音楽にはどんな影響をもたらしてますか?

カエラ
「新しい木村カエラになろう」とか「新しく変わってこう」っていう風には考えなくなった。5枚目のアルバム『HOCUS POCUS』までは、ずっと新しいことを探そうとしてて。自分自身を変えることはすごく難しいことだけど、それに挑戦しようとしてたんですよね。でも、いまは、無理に変えようとしなくなってきたというか、カラフルで子供っぽいことが好きだっていう部分は崩さずに、年齢的にも大人になっていく変化を普通に受け入れていければいいなって思うし、なんかいい状態でこれからを迎えられそうな気がしてますね。



では、新曲「Ring a Ding Dong」は、いつ頃に作った曲なんですか?

カエラ
武道館のライブが終わったあとすぐ、ですね。まず、バンドメンバーのみんなで曲を作りたいっていう目標があって。いろんな人に曲を作ってもらうっていうのを、一旦ここでストップしようと思ったんですね。いろんな人に頼むのはいつでもできるので、今このタイミングで固まってる仲間感を出そうかなって思ってて。バンドメンバーだけでやる第一弾が、ベストアルバムに入った新曲「You bet!!」から始まってて。その第二弾っていう感じです。



バンドメンバーと作りたいっていう話は聞いていたので、ファストなロックチューンだった「You bet!!」のような曲がくるのかなーと思ってたんですけど。

カエラ
そうですよね。でも、かわいい曲がやりたいなって思ってたんです。



どうしてですか?


カエラ
単純に「You bet!!」で激しいことをやったからですね(笑)。で、かわいい曲をやってなかったので、ちょっとテンポのいい、かわいい曲がやりたいなって思ってて。そこに、ドコモさんから、「私が着信音を口ずさむ」っていうCMのお話を頂いて。で、しのっぴ(渡邊忍)に作ってもらうことになったときに、しのっぴが、この『Ring a Ding Dong』の言葉を出してくれて。



どんな意味だと言えばいいですか?


カエラ
“ding dong”だけだと、“鐘を鳴らす音”っていう意味なんですけど。“Ring a ding”で、“バカ騒ぎ”っていう意味になるみたいで。この言葉自体は、海外の子供の歌とかで、何度も聴いたことがあったし、すごくかわいくて好きだなって思って。



バンドサウンドではなく、ギター以外、全て打ち込みになってますね。


カエラ
しのっぴが『今っぽい音で作る』って言ってたので、そういうバランスにはなってるんですけど、私の中では、ちょっとぶっ飛んでるというか(笑)、ディズニー系のアニメとか、「メリーポピンズ」とか「アニー」とか……。実写とアニメが混ざってるようなミュージカルに使われてそうな音楽だなーっていうイメージがあって。だから、ジャケは「アニー」の世界観で、衣装は「サウンド・オブ・ミュージック」っぽい感じになってます(笑)。



歌詞はどんなことを書こうと思いました?


カエラ
この「Ring a Ding Dong」の言葉には、バカ騒ぎっていう意味合いがあるんだけれども、その言葉がちょっと魔法の言葉みたいな、テンションの上がる言葉みたいになればいいなというふうに思っていて。だから“バカ騒ぎ”っていう言葉の意味は、とりあえず置いといて、ハッピーな言葉っていうテンションで書いたんですね。あと、6月に出るので、私の中では6月=雨みたいな。そこで、さっきも言ったみたいに、「メリーポピンズ」のイメージが強かったので、「メリーポピンズ」の女の人が黒い傘を持って降りてきたり、杖をついてステップを踏んでたりとか、傘とか雨とか杖とかステップとかっていうイメージがあったんですね。それで、最初に、心がドレスを着てるみたいな状態の歌詞を書きたかったので、心がドレスを着て、ステップして踊ってて、水たまりがあっても関係ないよっていう歌詞を書こうと思ってたんですけど、シノッピと話していて、もっとリアルな世界に変えようってなって。



ファンタジーの世界だけではないっていうのがひとつの変化かなと思うんですが。


カエラ
そうですね。「Butterfly」に近づけるっていう意味合いもちょっとはあると思いますね。妄想の世界にいって、好きなように、ファンタジーよりに書いていく詞のものと、「Butterfly」のように誰かを思い浮かべて、ひとりの人に向けて、すごくストレートな気持ちや素直な気持ちが入っているものを、混ぜていけたらいいなっていう目標があって。だから、サビとかはファンタジー寄りになってるんだけど、ほかの部分はなるべく現実的に、聴いてくれた人が誰かのことを思い浮かべられるような歌詞がいいなって思ったし、私自身も、誰かのことを思い浮かべながら書いていったっていうのはありましたね。



じゃあ、ここでの「君」っていうのは?


カエラ
お友達だったり、近くにいる人だったり、大切な人っていう感じですね。私自身は、やっぱり親友のことを思い浮かべたんですけど、ちっちゃい男の子が主人公にもなってるので、自分の母親のことも思い浮かべながら書いてて。



<ママにありがとう>って言ってますね。


カエラ
そうですね。この歌詞を書いてる中で、自分がものすごく入れたいなって思ったのが、<天使が好きな言葉がありがとう>っていうキーワードだったんですよね。ここは、シノッピとね、『キュンキュンさせちゃったほうがいいんじゃないか。どこまでキュンキュンできるかやろう』っていうことで出て来たフレーズなので、まあ、ちょっとした大人の悪知恵が入っちゃってる部分でもあるんですけど(笑)。



(笑)気持ちの部分でこれが言いたかったとかってあります?


カエラ
聴いてくれた人に元気になってほしいっていうのは、もちろんありますね。あとは、例えば、愛のなかでも、人々が分け合うっていう気持ちというか。ご近所さんひとつで考えても、きっと昔より、隣の人の顔を知らない人もすごく増えてると思うんですよ。人と分け合うことがすごく少なくなってきてるって考えたときに、やっぱり、なるべく優しさだとかそういうものを、人と人が分け合えて、思いやりがある世界のほうがいいしっていうので作ってて。それと、「ありがとう」って言えない人がすごく多いんじゃないかっていう部分。そのふたつを考えて作ってます。



みんなで幸せを分け合うっていうことと、感謝の気持ちをちゃんと伝えるってことですよね。


カエラ
今回、「ごめんね」は入れなかったんですけど。「ありがとう」と「ごめん」っていう言葉が言える大人になりたいなって思うんですよね。子供っぽくは書いているんだけど、そういう大人になりたいっていう気持ちも入ってますね。



出来上がってみていかがですか?


カエラ
何回も聴けるなと思ってますね。大人の考えで、キュンキュンする部分とかも作ってはいるけど(笑)、聴いてると、すごくひとつひとつの言葉に暖かみがあって。なんだろう、ほんとにちょっとキュンキュンするというか。だから、車の中で出来上がったものを聴いて、すごく興奮したりしてるんですけど、この曲を出せるのはすごく嬉しいですね。



どうしてですか?


カエラ
もともと、「メリーポピンズ」とかの世界観がすっごく大好きだけど、そこに寄ったものってそんなに出してなくて。今までだったら、まだ、ちょっと恥ずかしいって思ってたんですね。「memories」も、映画の曲だから出来たけど、あんまり自分の曲だと、ライブでやることを考えるとどうかなって思ってて。サウンドのバランスと歌詞のバランス、歌い方のバランスが、ちょっとでも子供っぽすぎると、やっぱりテンション的にライブでやるのが難しくなったりするんですよ。でも、今回は、シノッピがすごく上手にキックやベースを激しく出してくれて。いまどきの音なんだけど、かわいい言葉も出てる。今、やりたいことというか、人間の気持ちの変化を天気に当てはめたり、こういう自分が好きな世界観が、今っぽい形でできるのはすごく幸せなことだなと思うし、ライブでやるのもすごく楽しみだなって思いますね。



カップリングには、武道館公演のライブ音源が8曲も収録されてますね。


カエラ
もともとはスタッフの提案だったんですけど、やったことがないから。ありだと思って。あと、今回のアリーナツアーに来れなかった方がすごく多いって聞いてたんですね、まだまだ日数を増やせるぐらい、たくさんの応募があったみたいなので、ライブの音源を入れることも意味があるなって思って。



カエラさんがピアノを弾いた「Butterfly」も入ってます。


カエラ
やっぱり『Butterfly』っていう曲が、今回のツアーの中でもすごく大切にしなきゃいけない曲だったと思うんですね。2009年は『Butterfly』ではじまって、『Butterfly』で終わった1年でもあったし、5周年のいちばん最後のツアーっていうのもあったので、なんか特別なことをしたいなと思って。この曲をきっかけに、私のライブに初めてきてくれた人もいっぱいいると思うし、ライブに来れなかった人にもここで聴いてもらえたら嬉しいなって思いますね。

(コロンビアミュージックエンタテインメント)

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